銀 (シルバー) について

皆さん、銀を使用したアイテムはお持ちでしょうか?
銀はやわらかく加工しやすいので、アクセサリー以外にも様々なものが作られています。食器やコインなどを持っている方も多いかと思います。近年は減少傾向にありますが、銀歯をかぶせている方も少なくないのではないでしょうか。
ここでは、その銀についてお話します。

古代、銀は自然産出が少なく、金より価値が高いものでした。特に古代エジプトでは、現在とは逆の価値観で「金に銀メッキを施した」アクセサリーもあったそうです。
やがて製錬技術が向上し、銀山が多く発見されて金と同等の価値になりました。その後16世紀あたりから銀の暴落が始まり、反して金が上昇、さらには貴金属としてプラチナも使用されるようになり、銀はその価値を落としていきます。現在ではグラム数十円程度の価値になってしまいました。
しかし銀がアクセサリーや小物に使用されるのには、金にも引けを取らないその性質。やわらかく伸ばしやすいので加工しやすく、また安価なこともあって様々な用途に使用されます。
アクセサリーに始まり、食器やコイン、鉄瓶や銀杯など、銀を使用したものは実に種類豊富。アイテムとしてだけではなく、銀イオンを利用した消臭・抗菌、銀原子の性質を利用したフィルム写真の現像、銀歯や銀の針を使用した医療用と、触媒として電気工学分野での応用、銀の色を利用した着色料や銀箔、顔料や化粧品……実は、銀は我々の暮らしに最も密接で、有能な貴金属なのです。

アクセサリー類を中心に見ると、銀には数種類の刻印があります。
以下にそれを記述します。なお、数字刻印の場合は「SILVER」が省略されることも多いです。

SILVER 1000
ほぼ純度100%の純銀。しかしわずかな不純物は含んでいる可能性はあるので、金で言うところの「99.99」にあたります。

純銀
「SILVER 1000」の日本語表記。銀杯などに多く刻印されています(最近の銀杯は銀メッキも多くなっています)。

SILVER 958
銀含有率95.8%を意味する珍しい刻印で、後述する「SILVER 925」に代わる基準品として推奨されたことがあるもの。しかしやわらかいためアクセサリーに向かず、再び「925」が基準となりました。

SILVER 950
目にする機会はあまり多くない刻印。シルバーが95%であることを意味し、残り5%は亜鉛や銅などで強度を高めています。ハンドメイド作品素材として人気があります。

SILVER 925
最も目にする機会が多く、シルバー製品の基準となっているもの。表記通り92.5%の銀含有率を示しており、強度がアクセサリーや食器などに最も向いています。純度が低い分、黒みを帯びやすい性質があります。

STERLING SILVER
イギリス基準での「SILVER 925」の表記。そのため純度は同じく92.5%です。

SILVER
この表記だけの場合は、要注意。パールや水晶など、石ものネックレスの留め具などに多く使用されていますが、銀の純度がわからず、または銀メッキを意味している場合もあります。

洋銀
こちらは「銀」という表記がありますが、実際は銀ではなく、色が銀に似た亜鉛やニッケルなどの合金です。海外の銀貨を「洋銀」と呼んだ時代もあったようですが、実際に銀を使用していた銀貨と違い、「洋銀」という刻印が入ったものは銀ではありません。

銀は貴金属の中では化学変化しやすい部類で、空気に触れ続けると黒ずんできます。特に一般に使用されている「SILVER 925」は7.5%銀ではないものを含んでいることもあり、黒ずむ特質が強くあります。
ジュエリー・ショップなどで販売している専用のお手入れ用クロスで丹念に拭くと、黒ずみは落とせます。一気に黒ずみを落とせる漬け液や磨き液もありますが、白くなったり不自然にピカピカになってしまうこともあるので、使用時には注意と経験が必要です。
しかし黒ずみはレザーの使用感と同じで、黒ずんできたシルバーを愛好家は「味が出た」と言います。それを愛用していることの証であり、汚れではないと解釈することに、愛情を感じますね。
近年では黒ずみがしにくいよう、表面をロジウムメッキでコーティングしたものも多くなっています。あるいは同系色のプラチナと混合し、一見、プラチナ・アクセサリーのように見せる傾向が強まっています。銀のアクセサリーに、金メッキを施したものもあります。
金製品やプラチナ製品の代用品として使用している人も増えており、銀らしい黒ずむものを選ぶか、きれいなメッキものを選ぶかは個人の好みになるでしょう。

最後に、ちょっとしたお話をひとつ。
古くから、支配階級や富裕階級に使用されていた「銀製食器」。現在でも縁起物として赤ちゃんのスプーンには銀製のものが贈られたりと、数多く生産されています。
なぜ古くから銀食器が重宝されたのかというと、変色する銀の特性を利用し、何者かによって食べ物に毒物が混入された際、化学変化による変色で異変を察知できる性質から……という説があるのです。

銀特有の黒ずみは、シルバー・アクセサリーだからこそ。
それを「味」として楽しめると、よりシルバーが好きになれそうですね。