貴金属の「原価」をご存知ですか?

宝飾店で女性たちを虜にする、貴金属。身近なものでは結婚指輪からピアスまで、貴金属を材料としたアクセサリーは昔からの定番です。
主に、どの買取店でも扱っている「金・プラチナ・シルバー」が貴金属の代表的存在ですね。

ではこれらの貴金属に「原価」があることはご存知でしょうか?

 

円高や円安、為替などさまざまな要素の上昇や下降により、貴金属はその日の相場が決まります。
それを貴金属業者が金の純度ごとに発表し、それぞれグラムあたりの貴金属相場が決定します。
そうして金・プラチナ・銀すべては「グラム計算の原価」ができるのです。
最近で見ると、「24金インゴット(延べ棒)」の買取価格はグラム5,600円前後を行き来しています。

 

そこから金含有率が75%と比率が低くなる18金は、75%の価格になります。
仮に数字をわかりやすくキレイにして、「グラム4,000円」だとしてみましょう。
そうすると、女性が身に着けやすい2g程度のネックレスの原価は何と「8,000円」!
男性のリングは太めですが、5gのリングだとしても「20,000円」!!
もしも14金や10金など、より純度が低い場合は貴金属価値が下がり、原価はもっと安くなっていきます。シルバー(銀)など、実はグラム数十円の世界です。
金相場はあくまでグラム計算なので、原価計算にはデザインや状態などは無関係です。
そのため、貴金属業者につながる買取店は、原価を基準としたグラム計算が基本なのです。

 

それでは、宝飾店の店頭に並んだ新品ジュエリーはどうでしょう?
小さなリングや軽いネックレスでも数万円、ブランド品であれば数十万円や数百万円が当然のように値段として設定されています。また、金相場ではグラム計算が基本ですが、商品のグラム数を明記している宝飾店はほとんどないと思われます。原価がその程度なのに、なぜ高いの?
そこには、原価の貴金属素材から商品として提供される間にできた「見えない価格設定までのプロセス」があります。
たしかに、原価はグラム計算では数千円から数万円程度かもしれません。しかし数グラムの金素材だけを手に入れても、アクセサリーになっていないそれを、そのまま一般のお客様が購入してくださるはずがありません。
そのためには「貴金属素材を商品にする」ことが必要です。

 

貴金属素材をもとに、アクセサリーのデザインをする。有名デザイナーはデザイン料がとてもかかります。
そのデザインをもとに、貴金属を加工する。機械だけではない細かい職人作業は、より労働コストがかかります。
直接的ではなくても、何事にもそれらの間を運送する人件費や燃料費などのコストも発生しています。
そうして商品となり、最後に届いた宝飾店で完成品を販売します。しかしお店側も人件費や運営費などを含めて利益を計算するため、すでにコストが重なっている商品に「最後のコスト」をかけて販売するのです。従業員の給料や必要経費だけでなく、高級デパートに入っているお店などは多額の店賃(家賃)も発生していることでしょう。
これらがひとつでも欠けると、商品として流通できません。そこには必ず「それぞれの作業を担当する人」がいて、「それぞれの賃金や仕事上の利益」が発生しています。
それらのコストを重ねることで商品となり、原価は「商品代」になっていくのです。これらがひとつでも欠けると、それは商品として世に流通することはありません。
つまり、店頭に並んだ商品の価格は、もともとの原価に「その商品を販売までつなげていった人たち」の労働力や利益を加算した価格なのです。そのため原価からは算出できない価格になっています。
たとえば原価が安い銀素材でも、有名デザイナーや有名ブランドが販売するものはデザイン料から加工、店舗までのコストに加え、委託料やブランド使用料などが加算され、経費が非常にかかっているので、販売店では高額になることが多いのです。これは、実はダイヤモンドも同様です。
もしも原価そのままの価格でアクセサリーを手にしたいなら……デザインから製造まで、すべて自分でやるしかありませんね。
近年、10金や12金など、純度が低めの金アクセサリーが多くなっていると思いませんか?
それは「原価を安く抑えることで、販売額を安くする」目的があります。そうすることで18金やプラチナには手が届かなかった購買層からも、プチご褒美やプレゼントとしての購入が増えています。

 

その原価が顔を出すのが、不要になって持ち込んだ買取店。
買取店はもれなく、原価を基準とした金相場から、さらに自店利益を確保した額でグラム計算します。そのため原価が顔を出す計算となり、購入額との開きが大きく出ます。
「買った時は高かったのに……」という声がよくありますが、その購入額は当時の原価をもとに、商品になるまでの見えない多くのプロセスが重なったもの。そのためあくまで「購入時の値段」なのです。
しかし考え方を変えれば、どんなに古くても壊れてしまっても、貴金属であると判断できれば「素材としての原価買取」が可能とも言えます。これはボロボロに使用不可能になってしまったバッグなどでは考えられない、貴金属の強みです。

 


今はめている指輪も、実はたくさんの人によって作り上げられたもの。
そう考えると、ありがたみが湧きませんか? さらに買った人や愛用していた人の想いは、それ以上に大きく深いものでしょう。
「アクセサリーには思い出がこもっている」とはよく言いますが、深まりすぎたその思いを解放してあげるのも、アクセサリーへのひとつの礼儀なのかもしれません。
そのため使用することや、眠らせることが辛くなったら、買取店に持ち込むのも悪くないと思います。
そのアクセサリーは再び素材となり、またさまざまな人の思いを背負って、新しく生まれ変わっていくことでしょうから……。